チベット密教の宗派

チベットには、現在ゲルク派・サキャ派・カギュ派・ニンマ派の4大宗派があります。
他にも小さな宗派が沢山ありますが、基礎となっているのはこの4つの宗派です。

  

ニンマ派
4つの宗派のうちで最も古いのがニンマ派。
「ニンマ」とは、古いと言う意味で、昔の密教を伝えている宗派です。
もともとチベットにあった信仰のボン教や、中国の頓悟禅などの名残が残っている部分もあります。
宗祖は無く、古代チベット時代にインドから密教をもたらした「パドマサンバヴァ」と言う密教行者を熱くあがめています。

  

サキャ派
1073年中央チベット西部のサキャという所に、コンチョクギャルポという人が寺院を建立したことから始まります。
その子供のクンガーニンポは宗教の天才と言われ、インドの密教を基に独自の教義と修行の体系を構築しました。
その後も天才的な人物を輩出し、モンゴルの権力と上手く結びついたこともあって13〜14世紀チベット高原の支配的地位を築きあげていました。
モンゴルの後退と同時に衰えて行きましたが、宗派をしての力は有り、今も大きな宗派として存在しています。

  

カギュ派
10世紀頃、キュンポとマルパという2人の在家密教行者が、インドやネパールに留学して密教を持ち帰ったことから始まります。
その後いろいろと受け継がれ、カギュ派が形作られていきます。
ちなみに「カギュ」とは、「教えの伝統」と言う意味。
それから、いろいろな多くの分派が作り出されて、お互いに争いが送ってきました。
その中でも「カルマ・ドゥスンケンバ」を祖とする派が争いを勝ち抜いてカルマ・カギュ派として一大勢力になります。
このカルマ・カギュ派は、「転生活仏(トゥルク)」の理論を作り出し、多くの信者を得たようです。
最近、ヒマラヤを越えてインドに亡命したカルマパ17世は、このカルマ・カギュ派です。

  

ゲルク派
15世紀、ツォンカバというチベットの歴史上最高の天才によって始まります。
「ゲルク」とは、「徳行」と言う意味。
ゲルク派は、黄色い帽子をかぶることから「黄帽派」とも言われます。
ツォンカバが登場した頃、ジョル(性的ヨーガ)とドル(呪殺)が横行して、僧侶と言うものが墜落していました。
この状況かを改善して仏教の本来のあるべき姿に戻すために、ツォンカバは動き始めます。
弟子たちと共に、厳しい戒律を実践して、僧侶の腐敗に腹を立てていた人達に熱い支持を行きます。
ツォンカバは新しい教えや修行などを開発して、すばらしいチベット仏教を作り上げた人です。
ツォンカバは、世俗の領域には全く関わらなかったそうですが、後継者たちが世俗の領域に進出し、ダライラマ政権を作り上げていきました。
そして、17世紀にはチベット高原の全権を握るようになったようです。